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【症例】奥歯と前歯が歯根破折している状態に対しインプラントと硬質レジン前装冠を用いて審美的に修復

2025.10.28
| 治療内容 | インプラントと硬質レジン前装冠を用いた治療 |
|---|---|
| 期間 | 6ヶ月 |
| 治療回数 | 13回 |
| 費用(施術当時の料金) | 1,270,500円(税込み) |
治療前の状態・主訴
患者様は50代の男性の方で、前歯の見た目と奥歯のインプラントの治療をご希望で来院されました。
初診時、右上と左下に入れ歯を使用されていて、入れ歯が古くなって噛み合わせが低くなっていました。その影響で前歯が前に出てきてしまい、歯根が割れている状態が確認できました。前医院では揺れている前歯を接着剤で固定しており、もしもの場合は前歯も入れ歯にするしかないとお話をされていた様でした。
また、現状では前歯で全く食事をとることができず、入れ歯も安定しない状態でした。
インプラント治療で入れ歯をなくす形での治療をご希望でしたので、初診時に現状のご説明と大まかな治療の流れ、費用のお話をさせていただきました。この段階では前歯を外してみないとどうなるのかがわからなかったため、ひとまず奥歯にインプラントを先に埋入させていただき、低くなってしまったかみ合わせを改善してから前歯を外して確認してみましょうとお伝えし、治療を進めていきました。
治療詳細
まず、前歯の状態を知るためには被せ物を外さないといけないのですが、現在使用している入れ歯が前歯にかかっている状態であり、外してしまうと入れ歯が使えなくなることが予想されました。
また、前歯の動揺が予想以上に大きく、型取りをすると被せ物が一緒に外れてしまいそうな状態でした。本来なら先に前歯の型取りをさせていただきあらかじめ仮歯を作成しておいて即日に仮歯のセットと入れ歯の修理を同時に行うのですが、それも難しい状態でした。
丁寧にご相談をさせていただき、今回は先に奥歯のインプラントの埋入をさせていただくことになりました。その段階で奥歯の仮歯を入れ、入れ歯をなくした状態になったら前歯の治療をすることとなりました。C T画像を撮影させていただくと、顎の骨は非常にしっかりされている状態でインプラントの処置を行うのはとりわけ問題はなさそうでした。
クリーニングを適宜行いながらインプラントの治療の準備を進めていましたが、ある時上の前歯の被せ物が折れて脱離してしまったとのことで、急患で来院されました。前歯なので何もしないわけにはいかず、即日で脱離した差し歯を現在使用されている入れ歯に組み込んで修理を行い、なんとか使用できる形にしました。
同時に前歯の状態を全て確認することができましたが、2本ほど歯根破折を起こしていたため抜歯が必要な状態でした。
抜歯後の前歯はインプラントを使用せずブリッジで対応することが可能であり、その旨を患者様にお話ししました。今回インプラントでも費用がかなりかかってくるので、前歯は保険適応の治療である硬質レジン前装冠のブリッジで進めることとなりました。
入れ歯も安定しているため、右上のインプラントから埋入を行いました。

インプラント処置後は入れ歯をくり抜いてクッション材を敷き、現在使用している入れ歯はそのまま使えるように治療を進めています。
2週間ほど間を開けて、上の歯茎が治ったのちに下のインプラントを2本埋入しました。

右上の手前のインプラントの骨が柔らかく少し心配がありましたが、概ね問題なくインプラントの処置を行うことができました。患者様も痛みや腫れはほとんどなく、生活自体にそれほどの支障はなかったようです。
インプラントは骨とくっつくまで2〜3ヶ月ほどかかるので、その間に前歯の抜歯及び根の治療を行いました。
幸い、残せる歯根はどれもしっかりしていてブリッジを行うのには問題ありませんでした。上下のインプラントが完全固定できたのを見計らって仮歯の作成に移りました。
今回の患者様は長年の入れ歯の使用で、奥歯の噛み合わせの支えが失われていたため、前歯に負担がかかってしまい歯根破折を起こしてしまっている状態でした。それを改善するために、左右の仮歯を作成する時に顎の噛み合わせの関係をとらせていただき、奥歯を2〜3ミリほど挙上して前歯のスペースを再度作成しました。この状態で1ヶ月ほど生活をしていただき、噛み合わせに問題がないか、高さを上げたことで顎に負担がかかり痛みが出ないかなどを観察しました。今回は初めからそれほど違和感なく使用していただけている様でした。ただ、奥歯ができたことで歯ぎしりが復活してしまい、仮歯が破折してしまうことが何度かあり、その度に修理と噛み合わせの調整を行いました。
最終的には問題なく使用できるようになったため、下から被せ物を入れていきました。その後、上の被せ物を入れさせていただき、最後に歯切り仕様のマウスピースを作成させていただきました。また、スポーツをされるとのことでしたので、スポーツ用のマウスピースも作成させていただきました。


治療後の様子
セット後も特に日常生活に支障はなく、お食事も問題なく噛めるとのことでした。
本来ならば左上と右下の奥歯と前歯も一緒に治せたらよかったのですが、かなり治療に時間がかかったこともあり、今回は様子を見ることにしました。3ヶ月おきの検診でアフターフォローをしながら、必要があれば順次治療を行っていく旨を患者様にお伝えしております。
主な副作用・リスク
・予後を完全に保証するものではありません。
・自由診療での治療となります。
・骨造成は喫煙の有無や全身疾患の有無で骨ができない可能性があります。
・インプラントは骨の硬さや、定着期間中の強い衝撃などにより、骨とくっつかないケースがあります。
・インプラントは骨と直接くっつくため、10年ほど経つとインプラントとご自身の歯の間に隙間が開いてくることがあります。
・顎の中には神経が多くあります。大きな神経は避けてインプラントは埋入しますが、C Tにも写らない細い神経の枝がある可能性があります。その場合、麻痺がでるケースがあります。ただ、小さな枝なので半年ほどで消失するケースがほとんどです。
審美性とかみ合わせを両立したインプラント治療を提供します
今回の治療は、いかにして前歯の審美性と、かみ合わせを確保しながら治療を進められるかが重要になる症例でした。噛み合わせの治療は、噛める様になってくると予想外の顎の動きなどで、入れ歯に痛みが出たり折れたりと予想外のことが起こります。今回は患者様にご協力いただいて修理と調整を繰り返しながら治療を進めていきました。 最終的にしっかり笑えてお食事取れる様になって、久しぶりにお休みしていたスポーツもできる様になったと喜んでいただき本当に良かったと思います。
皆さんも何かお口の中でお困りのことがあれば、いつでもご相談ください。
みらい歯科 院長 出口 真太郎
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