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【症例】歯根歯折を起こした上顎歯を抜歯後、大規模骨造成を行いインプラントの埋入にて治療

2026.09.15
| 治療内容 | 繰り返す歯根破折に対する骨造成治療及び、インプラント埋入治療 |
|---|---|
| 期間 | 2年 |
| 治療回数 | 31回 |
| 費用(施術当時の料金) | インプラント 1,155,000円 骨造成 220,000円 合計:1,375,000円(税込) |
治療前の状態・主訴
今回の患者様は50代女性です。
本症例の治療期間は長期に渡っておりますが、左上のインプラント治療後に右上のインプラント治療を行いました。
順を追ってご紹介させていただきます。
患者様は以前からメインテナンスで通院されており、たびたび上顎の奥歯が腫れて痛みが出る症状がありました。
今までに何度か、根管治療なども行ってきましたが、根の先端が度重なる根管治療で壊れてしまっていたり、歯根に破折線が入っていたりと状態が良くありませんでした。
その状態で10年ほど経過する中で、段々と痛みが出てきて、瘻孔(ろうこう)ができるようになりました。
そんな中、普段は4ヶ月おきにメインテナンスで経過観察をしていましたが、今回右上が腫れたと来院されました。
診察したところ、右上の5番目の歯が完全に折れており、歯根嚢胞が大きく形成されている状態でした。
治療詳細

以前から状態があまりよくない歯で根管治療なども行いましたが、残存している歯質が少なく破折してしまいました。
抜歯時にかなり大きな膿疱が形成されており、骨がほとんどない状態でした。
こちらは、2ヶ月後のレントゲン写真になります。

丸く囲ってある部分が抜歯後インプラントを行う予定の部分なのですが、全く骨がない状態が見て取れます。
この状態ではインプラントの埋入は厳しいので、初めに骨造成(GBR)を行ってからインプラントの埋入を行う方針としました。
2ヶ月待機したことで歯茎は綺麗に治癒していたため、すぐオペに取り掛かりました。
骨が全くない場合のインプラントは、骨造成を先に行います。
今回の症例では、バイオオスとバイオガイドという材料を用いてオペを行いました。
1時間ほどでオペは完了しました。
骨合成を行う場合は、減張切開という特殊な歯茎の切除の仕方をします。これによって歯茎のテンションをコントロールし、傷が開きづらい環境を作ることができます。
しかし、この切開方法をしっかりと行うと、人によっては腫れが強く顔に青痣ができてしまうことがあります。
ただこのような場合でも、1週間ほどで徐々に消失していき、腫れはしますが痛みは2〜3日ほどで引いてくる方が多いです。
その後2週にわたって消毒と抜糸を行っていきます。
4ヶ月ほど待ったのちにCT写真を撮影しました。


インプラント埋入に十分な骨の状態になったことを確認しましたので、インプラントの埋入に移りました。
歯茎を切開してしっかりと骨ができているか確認したところ、既存の骨と遜色ない形で骨が形成されていました。
インプラントのオペは1時間ほどで問題なく終わり、無事にしっかりと埋入することができました。

その後2ヶ月ほど待機した後に、上部構造をセットしました。
しっかりとインプラント周りに骨が形成されているのが確認できました。

左側の4番目の歯も歯根破折で抜歯していましたが、そちらはブリッジで修復しました。
そこから3年ほど経ったのちに、今度は左の奥が2本炎症を起こしてしまい抜歯となりました。
今回の場合も非常に骨が少ない状態で、抜歯したあとは上顎洞ギリギリの状態でした。
膿疱が酷く、今回も2回法のインプラントを予定していたため、2ヶ月後に一度CTを撮影しました。

右上6番の骨の状況です。歯根の形で骨が欠損しているのがわかります。
つづいて右上7番目の骨の欠損状況です。

今回は前回のオペと異なり、2本分の骨を作る必要があるので、より大掛かりな処置となりましたが、行うことは前回と全く同じ形となります。
ただ、前回より大きな切開が必要となるので傷口が広く、術後は腫れて1週間ほど青痣ができました。
その後2週間にわたり抜糸を行い。4ヶ月後にCT写真を撮影しました。

右上7番

右上6番
こちらの状況で問題なかったのですが、右上の6番目の骨に少しボリュームが足りないためインプラントのオペの時にソケットリフティングという上顎洞の中に骨を作る処置を行い、骨のボリュームをさらに出す処置を行いました。
幸いこちらはあまり痛みも出ず、術後は経過良好でした。

その2ヶ月後に上部構造を被せて治療終了となりました。
術後5年目のレントゲン写真です。

レントゲン写真をよく見ると、左下の4番目の歯根が破折しているのが見て取れます。
現在はこちらも抜歯してインプラントが埋入されています。
治療後の様子
長期間一人の患者様を拝見させていただくと、その方の遺伝的な特徴が見えてきます。歯の質は遺伝的な要因が大きく、人によって硬さが異なります。
顎の骨も同様に人によって硬さや密度が千差万別です。
今回の患者様は若い時に大きな虫歯がいくつかあり、多くの歯に神経の処置をされていたため残存している歯の量が非常に少ない方でした。
そのため、40代から50代にかけて、残っている歯の状態が悪い部分が破折する状態でした。
このような場合、過大な咬合力の負担も無視できませんのでマウスピースは夜寝る時に必ず装着していただいております。
主な副作用・リスク
・予後を完全に保証するものではありません。
・自由診療での治療となります。
・骨造成は喫煙の有無や全身疾患の有無で骨ができない可能性があります。
・インプラントは骨の硬さや、定着期間中の強い衝撃などにより骨と結合しないケースがあります。
・インプラントは骨と直接結合するため、10年ほど経つとインプラントとご自身の歯の間に隙間が開いてくることがあります。
・顎の中には神経が多くあります。大きな神経は避けてインプラントは埋入しますが、C Tにも写らない細い神経の枝がある可能性があります。その場合麻痺がでるケースがあります。ただ、小さな枝なので半年ほどで消失するケースがほとんどです。
・ソケットリフトは上顎洞の中に骨を作る処置となっています。場合によっては上顎洞の中に蓄膿症を合併症として併発するリスクがあります。また、蓄膿症がある方はその炎症を抑えてからの処置となるため、耳鼻科での対診が必要となります。
永久歯は再生することのない組織です。ストレスを減らすことで健康な歯を守れることがあります。
今回は歯根破折を繰り返す患者様のインプラント治療の症例をご紹介しました。
インプラントをする患者様には、「歯は非常に硬い素材で構成されている」ということをお伝えしています。
しかし、歯は骨のように再生やリモデリングを全く行わない、非常に珍しい組織です。そうなると、年齢を重ねてくると今回のような歯根破折のケースに遭遇する機会が増えてきます。
私がインプラントを手掛けている年齢層も、50代後半から60代の方が多いです。
歯を折るほどに食いしばってしまう要因には、歯並びや顎の形態など様々な器質的要因があります。
しかし、これら以上に食いしばりを誘発する1番の要因はストレスです。現代のようなストレス社会はなかなか精神的にリラックスできることが少なくなってきています。
その影響もあり、筋緊張が強くなってしまい食いしばりが悪化し、歯に悪影響を及ぼす患者様が増えてきていることを強く感じます。
ストレスによる食いしばりはその方の精神的な状態などが深く関わっているため、歯科的なマウスピースなどだけではなかなか解決しづらい問題です。
日頃から適度な運動やしっかりとした睡眠時間の確保、ストレスマネージメントなどによって食いしばりは増減します。
これが私自身もなかなか難しいことで、うまくこれらをコントロールしながらご自身の歯を守っていくことがなるべくインプラントを増やさない1番の方法だと考えております。
みらい歯科では、インプラントに関する無料相談やセカンドオピニオンも受け付けておりますので、ご希望がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
こちらもご参照ください。
インプラント治療|みらい歯科
【症例】噛み合わせが強く歯周病と歯根破折を招いた歯に対するインプラント治療|みらい歯科
みらい歯科 院長 出口 真太郎
